
SDGsウォッシュに気をつけろ、と言われるんだけど、具体的事例を知りたいんだよなぁ。できれば回避策も知りたい。
SDGsの達成に取り組むことが半ば当然のように見られていますが、かと言って『ウォッシュ』にならないように気をつける必要がある。。

なんとも難しいね。

経営の透明性が厳しく求められる今は,『真正な取り組み』が求められるんだね。
本記事では、ご要望にお応えして,以下の内容をわかりやすく解説します。
- SDGsウォッシュの定義
- SDGsウォッシュの事例
- SDGsウォッシュの回避策
記事を読み終わるころには、あなたもSDGsウォッシュについて具体的に理解しているはずです。
理解したうえで、マイナス要素になってしまうSDGsウォッシュを回避していきましょう。
SDGsウォッシュとは
SDGsウォッシュの定義

SDGsウォッシュの定義
SDGsウォッシュとは、『表面的にはSDGsに取り組んでいるように見せておきながら、実際は中身が伴っていない』状態のことです。
要は『言っていることとやっていることが違う』状態です。
実質的な嘘つきってことです。
SDGsウォッシュの語源

SDGsウォッシュの語源
SDGsウォッシュの語源は『グリーンウォッシュ(Greenwash)』だとされています。
グリーンウォッシュは、特に環境面に関して使われる言葉で,
- 環境によさそうなイメージを全面的に押し出す石油会社
- 工場排水を野放図に出し続けているのにCMではクリーンな主張を続ける化学会社
などが例として挙げられます。
グリーンウォッシュのさらに元となった言葉は、英語の『ホワイトウォッシュ(Whitewash)』です。
直訳すると、『うわべをごまかす』です。
納得の語源ですね。
SDGsウォッシュが叩かれる理由

SDGsウォッシュが叩かれる理由
説明するまでもないかもしれませんが、語源のとおりごまかしているからです。
SDGsに取り組むいい企業というイメージを植えつけておきながら、裏では相反することを行なっている。
そのような詐欺的な行為が叩かれるのは当然ですよね。
少なからず人々の期待を裏切っているわけですから。
SDGウォッシュの事例
SDGsウォッシュを具体的に理解するために、事例を見ていきます。
事例1:ナイキ

事例1:ナイキ
ナイキは、アメリカ合衆国のアパレル企業で、その知名度は全世界に響き渡る大企業です。
バスケ狂だった僕にとって、神様(マイケル=ジョーダン神)と契約した企業なので神クラスの企業でもあったのですが。。
1996年6月発行の米国の雑誌”LIFE”に、パキスタンでサッカーボールを縫製する子どもの写真が載せられ、児童労働問題として取り上げられました。
1日11時間もの長時間の作業で、その子どもは3~4ドルしかもらえなかったそうです。
世間の追及に対して、あろうことかNIKEは下請会社に責任を転嫁したため、世界的な不買運動に発展したとのこと。
最終的には謝罪に追い込まれました。
参照:ボーダレスジャパンの記事
事例2:ユニクロ

事例2:ユニクロ
今や世界的なアパレルメーカーに成長したユニクロですが、2015年の調査で『裏側』が暴かれました。
ブランドイメージはとてもクリーンですよね?
しかし、1日に600~700枚のシャツに立ったままアイロンをかけ倒れてしまうなど、1日14時間もの労働実態が明らかになったのです。
床に排水が流れ出し、換気設備が機能していない高温多湿の劣悪な環境の中で、長時間労働。。。
さらには異臭の充満や、漏電などの災害リスクも指摘されていました。
僕もユニクロをよく利用しますが、そこまで酷い実態が隠されていたとは知りませんでした。

ユニクロは2019年には国際労働機関とのパートナーシップを締結し、労働環境改善のために動き出しています。
一刻も早く、改善されることを願って病みません。

事例3:みずほ銀行

事例3:みずほ銀行
みずほ銀行は僕も利用するメガバンクです。
脱炭素社会への取り組みを発信しているのですが、一方では新規石炭火力発電事業への融資を行っていました。
石炭火力発電事業からの二酸化炭素は、あらゆる発電形式の中でも最も多いのです。

なのに『脱炭素』を標榜しては、まさにSDGsウォッシュですよね。
現在では、方針を転換し、石炭火力の新規融資残高を2050年までにゼロにすると発表しました。
ちょっと遅すぎるような気もしますが。。

SDGsウォッシュの回避策

SDGsウォッシュの回避策
SDGsへの取り組みが評価されるようになっているので、投資マネーもそのような会社に集まります。
SDGsウォッシュが発覚したら、株価の低下だけでなく事業や会社の存続も危ぶまれる時代になってきました。
SDGsウォッシュであることを知りながら事業を行うことは問題外ですが、知らないうちにウォッシュになってしまうことは予防できます。
その方法を見ていきます。
フテラ社の『The Greenwash Guide』を参考にする
イギリスのフテラ社が,『The Greenwash guide』というコンセプトを発表しました。
スライドシェアの資料しかないのですが,リンクを置いておきます。

The Greenwash guideでは,グリーンウォッシュと見なされてしまう10の特徴が紹介されています。
SDGsウォッシュにも通じる特徴なので,10の特徴を回避すればいいわけですね。
日本語で回避策を紹介すると以下の通りです。
- 1. あいまいな表現を避ける
『エコ・フレンドリー』などがいい例です。明確に何を意味するのかわかりませんからね。
- 2. 明らかに環境汚染をしている企業はグリーンを前面に出した商品表示を避ける
高効率な電球を作っている工場から,汚水を垂れ流している場合などです。むやみに『環境に配慮』なんて表示してはいけません。
- 3. 印象を操作するような表示を避ける
まるで排ガスが綺麗な空気であるかのように,車のマフラーから花が咲き乱れているような表示ですね。
- 4. 的外れな主張を避ける
全体的には環境によくない事業や商品なのに,ごく一部分の環境配慮を取り上げて主張する行為も避けるべきです。
- 5. 周囲のレベルが低いのに相対的に優れていることを主張しない
業界全体として環境配慮が遅れているのに,自社が少しだけ進んでいるからといって,『業界でもっとも環境に配慮』などと表示してはだめです。
- 6. 矛盾した表示を避ける
『エコフレンドリーなタバコ』なんて表示はありえません。
- 7. 難しい表現を避ける
専門化しか分からないような表現は避けましょう。
- 8. 第三者が裏付けている表現を避ける
あたかも第三者が『これはいい!』と裏付けているような表現を避けるべきです。
独自に作ったエコラベルみたいなものはNGですね。
- 9. 根拠のない主張を避ける
主張と根拠はセットです。
根拠を説明できないのに,『二酸化炭素を全く出さない』などと主張しないように。
- 10. 嘘を避ける
絶対にやってはいけないことですね。
電通の『SDGsコミュニケーションガイド』を参考にする
ありがたいことに,電通が『SDGsコミュニケーションガイド』(P.16参照)の中で,SDGsウォッシュを回避するためのチェックポイントを紹介してくれています。
- 1. 根拠がない,情報源が不明な表現を避ける
- 2. 事実よりも誇張した表現を避ける
- 3. 言葉の意味が規定しにくいあいまいな表現を避ける
- 4. 事実と関係性の低いビジュアルを用いない
日本語で丁寧に説明されている資料なので,『SDGsコミュニケーションガイド』は必見ですね。
まとめ

まとめ
本記事では、大きく3つの内容をご紹介しました。
まず、SDGsウォッシュは、SDGs達成に向けて取り組んでいるように見せながら、実態が伴っていないことを言います。
『グリーンウォッシュ』、さらには『ホワイトウォッシュ』(うわべをごまかす)が語源でしたね。
SDGsウォッシュの事例には、ナイキ、ユニクロ、そしてみずほ銀行などがありますが、いずれも世間の批判を受けて謝罪や方針転換を強いられています。
方針転換には多大な労力·コストが伴うもの。
最初からウォッシュなんてやめておけばよかったのに。。と思いますよね。
最後に、SDGsウォッシュを回避するために、フテラ社『The Greewash Guide』や電通の『SDGsコミュニケーションガイド』をご紹介しました。
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