SDGs目標7の”エネルギー”。。。そもそも何が問題なのか?

SDGs目標7のエネルギー。。。そもそも何が問題なのか? 制度や仕組み、関連情報
SDGs目標7のエネルギー。。。そもそも何が問題なのか?

SDGsの目標7はエネルギーに関するものってことは知ってる。だけど、そもそも何が問題なんだ??

 

そういった疑問に答えます。

 

僕はエネルギー業界で長く働いているエンジニアですので、少しばかり深くて科学的な内容になります。

ぜひ一緒に考えていきましょう!

 

本記事では、SDGsの目標7『エネルギーをみんなに そしてクリーンに』を考えるきっかけとして、エネルギーの世界では一体何が問題になっているのかをまとめます。

 

スマートフォンやPCで本記事をお読みいただいていると思いますが、この時間は『両手で地球を包んでいるような視点』まで引き上げてほしいです。

ぜひ視点を引き上げてほしい

ぜひ視点を引き上げてほしい

 

地球規模のお話になりますからね。

 

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【結論】SDGs目標7に見る2つの問題

【結論】SDGs目標7に見る2つの問題

【結論】SDGs目標7に見る2つの問題

 

いきなり結論です。

 

エネルギーの何が問題なのか?の答えは、SDGs目標7の文言にすでに表現されているんです。

 

それは、以下の2点です。

  • エネルギーをみんなに → 人類全体としてエネルギーが足りない
  • そしてクリーンに → クリーンではないエネルギーを使っている

 

SDGs目標7の文言は、問題を裏返しにしたものだったのです。

 

個別に見ていきますね。

 

エネルギーが足りない

エネルギーが足りない

エネルギーが足りない

 

1つ目は『エネルギーが足りない』という問題です。

少しずつ考えていきます。

 

世界のエネルギー事情

世界では、エネルギー不足に悩んでいる人たちが大勢います。

 

日本にいると、街は明るいし暖房や冷房を使えるので、エネルギー不足を実感する機会はないかもしれません。

 

ですが、SDGs宣言時の国連の資料によると、

  • 13億人が電力を使えていない
  • 30億人が料理のために木や石炭や炭、動物の糞尿を燃料として使用している

という実情があります。

 

生活に必要なエネルギーを十分に賄えていないのです。

 

エネルギー不足における反論

上記のように書くと、当然ながら反論があります。

少しだけ反論について考えてみますね。

 

イナタ
イナタ

【反論1】木や炭を燃料として使ったらダメなの?動物の糞からエネルギーを取れるならエコじゃん!江戸時代はそうやって暮らしていたんだろうし、そのほうが地球に優しいよね?!

 

反論をしている本人は江戸時代の暮らしを実践しているのでしょうか?

スマートフォンも使わず、車や電車にも乗らず、糞尿を乾燥させて燃料にして、それを使って火を起こして料理をしているのでしょうか?

 

自分は電化・近代化の恩恵に預かりながら、一部の人には江戸時代の暮らしを求めるとは、一体どういうことでしょうか?

 

これは抽象的で哲学的な考え方になるかもしれませんが、生物の歴史は進化の歴史といっても過言ではありません。

生物が環境に適応し、利用し、進化してきたからこそ、いまの人類が存在します。

まるでDNAに『進化せよ』という改変不可のコードが組み込まれているかのようです。

人類の本質は進化か

人類の本質は進化か

 

仮に世界大戦や隕石落下などがあって一時的に文明が破壊されれば、石器時代のような生活を強いられるかもしれません。

しかしまた人類は工夫して適応し進化していくはずです。

その場に留まったり、元いた場所に戻ることは決してしないのです。

 

江戸時代の暮らしは確かにエコだったかもしれないし、地球の資源を消費し尽くすなんてことにはならないのでしょう。

ですが人類は江戸時代と同じ生活様式を二度と実践しないと思います。

便利さを捨てられないのもあるし、上述した通り進化に縛られた生物だからです。

 

木や炭や動物の糞を調理のエネルギーとして使っている人たちも例外ではなく、ひとたび電化・近代化を受け入れたら、もう昔の生活には戻らないはずです。

 

ただ、電化・近代化が100%正解かと言われたらYesと答えづらいことは確かですが、間違っていたら人類は次の手を考えて変化・進化していきます。

SDGsに向かって行動変容を決めたことがその証拠です。

 

(江戸時代のような)昔に戻るという選択ではなく、よりよい生活を模索しながら前に進むべきだと思うわけです。

 

そして、エネルギーの分野では、まず『電化』が大きな方向性になります。

 

イナタ
イナタ

【反論2】電気じゃないとダメなの?他のエネルギーでいいのでは?

現時点の人類文明が利用するエネルギーの形態は、主に電気と熱に分けられます。ですが、身の回りを見てください。

電気を使っているシーンて、めちゃくちゃ多くないですか?

 

反対に熱を取り出しているシーンは、料理での都市ガスやストーブくらいですよね、日常生活だと。

 

電気を得る手段は多いのに対し、熱を得る手段は限られてくるのが現状です。

 

電気は、太陽光や風の流れ、水の流れなどでも得られるのですが、それは『発電機』という、運動エネルギーを電力として取り出す装置があるからです。

 

一方の熱は、古来から基本的に仕組みが変わっていません。

物を燃やした時の、つまり物質が急激に酸素と結びつく時の発熱反応によって熱を得ています。

物を燃やして熱を取り出している

物を燃やして熱を取り出している

 

そして、酸素と結びついて大きな熱を得やすい元素の代表格が、炭素です。

 

炭素が酸素としっかり結びつくと、二酸化炭素が生成されます。

そう、温室効果ガスです。

 

もちろん、他の方法でも熱を得られますよ?

太陽熱でお湯を蓄えることはできますし、原子力の熱エネルギーだって二酸化炭素とは無縁です。

 

ただ、太陽熱を大規模に蓄えておくこと難しいし、原子力を選ぶことは・・・世界的には否定的です。

このように考えると、多様なリソースから取り出すことのできる電気って、エネルギーの形としては1つの究極形だと思うんです。

 

少なくとも、現時点の科学力では。

電化が1つの方向性

電化が1つの方向性

 

人口が増えるから足りない状況は悪化

国連の予測(参照。Figure 1)によると、少なくとも2100年頃までは人口は増え続けます。

 

現時点でもエネルギーの供給が不足しているのに、人口が増えていく中で何の手も打たなければ、エネルギー不足の状況は悪化します。

 

だからSDGs目標7があり、エネルギーを行き渡らせようとしているんです。

 

さて、ここまではSDGsの目標7の前半で、エネルギー不足に関する課題でした。

 

後半は、エネルギーの中身に関する課題です。

 

エネルギーの中身がまずい

エネルギーの中身がまずい

エネルギーの中身がまずい

 

エネルギーの中身がまずいというのは、『エネルギーの取り出し方が地球環境にとって好ましくない』を意味します。

個人的にも、SDGs的にも、です。

 

エネルギーの内訳

資源エネルギー庁は、『エネルギー白書』という統計資料を毎年発行しています。

 

2020年度版からの引用ですが、2019年時点で世界全体のエネルギーのうち、84%が化石燃料(石油、石炭、天然ガス)から作られています。

 

日本の場合85%が化石燃料から作られています。

都合が悪いのか、あまり声高に主張されることのない事実です。

 

なぜまずいの?

二酸化炭素を出しまくっているからですね。

 

温暖化と二酸化炭素の影響については諸説あり、陰謀論すらありますが、ここでは『二酸化炭素は温暖化の要因となる』を前提とします。

(参考までに、国立環境研究所の解説を載せておきますね)

天然ガスってクリーンなイメージがあるけど・・・?

Kobol
Kobol

CMに影響を受けまくってるね!下の記事でも解説した通り、天然ガスは排出する二酸化炭素が若干少ないのと、酸性雨の原因とされる物質が少ないというだけなんだよね。

天然ガス?LNG(エルエヌジー)?そろそろ理解を進めよう。
クリーンなイメージが刷り込まれている感のある天然ガスですが,猛進は禁物です。SDGsの目標13『気候変動に具体的な対策を』の『対策』に本当になりえるのか,冷静に考えてみる価値はありそうです。本記事では,天然ガスを中立目線で紐解きます。

 

SDGs目標13が気候変動(特に温暖化)の回避を目指していますが、化石燃料を消費して二酸化炭素を出しまくる現状は、SDGs目標13と矛盾してしまうんです。

 

なぜこんな中身になっているの?

これは僕なりの考察ですが、以下の2点に集約されていると思います。

  • エネルギー製造コストが低い
  • スイッチングコストが高い

 

エネルギー製造コストが低い

資源エネルギー庁の資料によると、石炭や天然ガスの場合は風力や太陽光と比べて発電コストが低いことがわかります。

発電コストの比較

発電コストの比較

 

原料を海外からの輸入に頼っている日本ですらこの状況なので、自国に石炭や天然ガスがある国では、もっと安く発電できるはずです。

 

コストが低いと利益を残しやすいので、そりゃあ政府や電力会社やガス会社は安いエネルギー源を選択しますよね。

 

市場原理に照らすと、とても自然な選択です。

 

石炭は最も古い燃料で、石油や天然ガスも次いで歴史が古いです。

そして世界にたくさん存在しているし、1kgの中に閉じ込められているエネルギーも多い

長い年月をかけて技術が開発されてきたので、安く採掘・精製することもできます。

 

こう考えると、化石燃料は経済的な観点からとても魅力的な(=儲かる)エネルギー資源なので、なかなか離れられないのでしょう。

 

スイッチングコストが高い

スイッチングコストは、文字通り『別の仕組み等に切り替えるためのコスト』です。

 

化石燃料をエネルギーのベースとした社会システムが、すでに出来上がっているんです。

 

この状態から、二酸化炭素を排出しない仕組みのエネルギーに転換していくには、膨大なコストをかける必要があります。

 

まずは、既存の炭田や油田、ガス田、精製設備、運搬設備、貯蔵設備、発電設備などを廃止するコストが必要です。

 

また、二酸化炭素を排出しないエネルギーを取り出すための一連の設備を導入するコストが必要です。

 

莫大なコストが必要ですし、もちろん時間や労力もコストとしてのしかかってきます。

 

既存のエネルギー産業を作り上げたときと同等以上のコストがかかるので、なかなか踏み切れないのだと思います。

 

まとめ

本記事では、SDGs目標7に関して、そもそもエネルギーの何が問題なのかを解説しました。

僕の個人的な考察も多く含まれていますが、エネルギー業界でずっと仕事をしているので、大きく外れてはいないと思います。

地球や人類にとって少しでもよい方向に進むために、解決すべき問題は、

  • エネルギーが足りない
  • エネルギーの中身がまずい

2つです。

 

エネルギーの量と質の問題というわけです。

 

SDGs目標7はこれらの問題を解決し、クリーンなエネルギーを充分に行き渡らせること目指しているわけですね。

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