カーボンニュートラル実現のための『スコープ』を図で解説

カーボンニュートラル実現のための『スコープ』を図で解説 制度や仕組み、関連情報
カーボンニュートラル実現のための『スコープ』を図で解説

カーボンニュートラル実現のために自社でも温室効果ガスの排出量を削減しなきゃならないんだけど、まずは『スコープ』を理解した方がいいと聞いて。。
『スコープ』ってどういうものなんだ??

 

その疑問に答えます。

 

本記事では、カーボンニュートラルに関連の深い『スコープ』について、図を用いてわかりやすくお伝えしていきます。

 

スコープを理解すると、排出量の削減ポイントを考えやすくなりますので、ぜひ最後まで読んでヒントをもらってくださいね!

 

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カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは

 

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出と吸収を差し引きして、全体としてゼロになっている状態です。

 

2021年の前半ごろから急に世間で広まり始めたキーワードですよね。

 

僕はエネルギー業界で働いているので、以前から聞くことはあったのですが、世間に広く発信されるようになったのは2021年の前半だと記憶しています。

 

カーボンニュートラルについてはこちらの記事で詳しく説明したので、ぜひ参照ください。

 

サプライチェーン排出量とは

サプライチェーン排出量とは

サプライチェーン排出量とは

 

サプライチェーン排出量は、環境省によって以下の通り表現されています。

事業者自らの排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量を指す。
つまり、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の流れ全体から発生する温室効果ガス排出量のこと。

 

絵で示すとこんな感じです。

サプライチェーン排出量のイメージ

サプライチェーン排出量のイメージ

 

企業活動は、商品やサービスのもととなるものを仕入れ、自社で加工等を行って付加価値を高めて、消費者に対して提供します。

 

物やサービスの流れのことを『サプライチェーン』と言うので、このサプライチェーンの上流から下流までの全体で排出される温室効果ガスの総量が『サプライチェーン排出量』と言うのですね。

参照

 

スコープの定義

サプライチェーン排出量を算定するにあたっては、『スコープ』(日本語では『範囲』)の概念が重要となります。

全体像から各スコープまで、見ていきますね。

 

スコープの全体像

スコープの全体像

スコープの全体像

(図は環境省Webサイトより)

 

サプライチェーンにスコープを当てはめると、上の絵になります。

スコープは1〜3の3つあるわけですね!

 

サプライチェーンは非常に広く多岐に渡るので、スコープ(範囲)を区切ると、思考が整理されて計算しやすくなります。

スコープごとの排出量がわかれば、排出量削減の方策も考えやすいですよね。

 

スコープ1:直接排出

スコープ1:直接排出

スコープ1:直接排出

 

定義と例

スコープ1は、以下の通り説明されています。

国内および海外において自社が所有または支配する事業からの排出であり、燃料の使用や工業プロセスにおける排出量などの直接排出が算定対象となります。(参照:環境省ガイドライン

 

例えば、以下の排出がスコープ1に該当すると考えられます。

  • 自社所有のボイラーで天然ガスを燃焼させた場合の排ガス
  • 自社所有の車(ガソリン車)の走行に伴う排ガス
  • 自社所有の建設機械が現場で作動したことに伴う排ガス
  • 出資した事業の上記のような活動をした場合の排ガス(出資比率による)

 

排出量削減方法の例

スコープ1の排出量を削減するには、例えば以下の方法があります。

  • 自社所有の車をハイブリッド車に変える(燃費改善により排出量を削減)
  • 製鉄炉においてコークスではなく水素で還元する
  • 自家発電設備の燃料を重油から天然ガスに変える

 

スコープ2:エネルギー起源の間接排出

スコープ2:エネルギー起源の間接排出

スコープ2:エネルギー起源の間接排出

 

定義と例

スコープ2は、以下の通り説明されています。

国内および海外において自社が購入した熱・電力の使用に伴う排出が算定対象となります。(参照:環境省ガイドライン

 

例えば以下の排出がスコープ2の対象となります。

  • 自社が購入している電力が天然ガス火力発電由来のものであった場合に、その発電の際に発生する天然ガス由来の排ガス
  • 自社が購入している蒸気が石炭ボイラーであった場合に、その蒸気発生の際に発生する石炭由来の排ガス

 

逆に、対象外となるものは以下です。

  • 自社で重油ボイラを持っており、蒸気をその蒸気ボイラーで発生させて使用する場合

この場合は、蒸気ボイラーからの排出はスコープ1に該当します。

自社の活動から発生する『直接排出』ですからね。

 

排出量削減方法の例

スコープ2の排出量を削減するなら、例えば以下の方法があります。

  • 再エネ主体の電力を購入する
  • 省エネや節電によって消費電力を削減する

 

再エネ主体の電力については,法人向けならアーバンエナジーの『ゼロエミプラン』,東京電力の『アクアエナジー100』などがあります。

 

スコープ3:関連するすべての排出(スコープ1,2以外)

スコープ3:関連するすべての排出(スコープ1,2以外)

スコープ3:関連するすべての排出(スコープ1,2以外)

 

定義と例

スコープ3は、環境省によると以下の通り説明されています。

Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)(参照:環境省Webサイト

 

めちゃくちゃ広い範囲ですね!

スコープ3はあまりに広いので、以下の通りさらに15のカテゴリーに分かれています。

カテゴリー1~8が自社よりも上流側,カテゴリー9~15が自社よりも下流側の排出です。

Scope3カテゴリ 該当する活動(例)
1 上流 購入した製品・サービス 原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達
2 資本財 生産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上)
3 Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動 調達している燃料の上流工程(採掘、精製等)
調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等)
4 輸送、配送(上流) 調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主)
5 事業から出る廃棄物 廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送(※1)、処理
6 出張 従業員の出張
7 雇用者の通勤 従業員の通勤
8 リース資産(上流) 自社が賃借しているリース資産の稼働
(算定・報告・公表制度では、Scope1,2 に計上するため、該当なしのケースが大半)
9 下流 輸送、配送(下流) 出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売
10 販売した製品の加工 事業者による中間製品の加工
11 販売した製品の使用 使用者による製品の使用
12 販売した製品の廃棄 使用者による製品の廃棄時の輸送(※2)、処理
13 リース資産(下流) 自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働
14 フランチャイズ 自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2 に該当する活動
15 投資 株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用
その他(任意) 従業員や消費者の日常生活

 

上の表のそれぞれのカテゴリーについて排出量を算定するわけですね。

 

排出量削減方法の例

  • ハイブリッド車による運送に取り組む運送会社と契約する
  • 従業員の出張を減らし、リモート打合せを主体にする
【図解入り】カーボンニュートラルをわかりやすく解説します
世界がカーボンニュートラルに舵を切りました。本記事では,カーボンニュートラルの概念から実際の取り組みまで,図を使いながら解説します。僕が普段から仕事で接している分野なので,なるべく噛み砕いてわかりやすく伝えます。

 

まとめ

本記事では、カーボンニュートラルに関連して、温室効果ガスの算定に使用する『スコープ』を解説しました。

 

スコープは1〜3まであり、関係は以下の通りとなっています。

  • スコープ1:自社が所有または支配する事業からの排出(直接排出)
  • スコープ2:自社が購入した熱・電力の使用に伴う排出(間接排出)
  • スコープ3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

様々な関係者が排出しているので、スコープとカテゴリーで範囲を区切ることによって、排出量を計算しやすくなります。

具体的な計算方法については、環境省がパンフレットガイドラインを発行しているので、必要になったときに参照してみてくださいね。

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