就学前教育とは?その効果を示す数々の研究結果もわかりやすく解説

就学前教育とは?その効果を示す数々の研究結果もわかりやすく解説 制度や仕組み、関連情報
就学前教育とは?その効果を示す数々の研究結果もわかりやすく解説

SDGs目標4に出てくる就学前教育って、一体何だろう?子どもに受けてもらった方がいいのかな?

 

そんな疑問に答えます。

 

本記事の内容は以下の2つです。

  • 就学前教育の正体
  • 就学前教育の効果を示す研究成果

 

就学前教育とは?

就学前教育とは?

就学前教育とは?

 

就学前教育とは、小学校に入る前までの子どもが受ける教育のことです。

文部科学省は『幼児教育』と呼んでいますが、小学校就学前の子どもを『幼児』と定義しているので、中身は同じです。

 

教育と聞くと、机に座ってお勉強。。。というイメージを持つかもしれませんが、もっと広い概念です。

机にかじりついてお勉強?

机にかじりついてお勉強?

 

就学前教育は、いわゆる机上のお勉強だけではなく、人との関わり合いや、自然とのふれあいなどを通して、心身ともに豊かに成長するための教育です。

心身ともに豊かに成長する教育

心身ともに豊かに成長する教育

 

一般的には、『小さい頃に英語を学ぶといい』『知育玩具が効果がありそうだ』などと言われているのですが、実際にはどのような効果があるのか、種々の研究結果をみていきます。

 

就学前の教育の効果

教師との良好な関係が学業成績を向上させる

教師との良好な関係が学業成績を向上させる

教師との良好な関係が学業成績を向上させる

 

上の図は国立教育政策研究所の資料から引用したものですが、アメリカ国立小児保健発達研究所(NICHD)の研究が元となっています。

横軸は教師と子どもの関係の変化、縦軸は3年生時点での学習指標です。

横軸は4歳半→幼稚園→1年生→3年生にかけての変化なので、プラスなら教師と子どもの関係は良くなっています。

 

グラフからわかるとおり、教師と子どもの関係がよくなることと、学力指標の向上には相関性があります。

また、実線は母親との関係性が不安定な子どものケースですが、関係性が安定している子どもよりも、傾きが急になっています。

これが何を示しているかというと、母親との関係性が不安定な子どもは、母親との関係が安定している子どもよりも、教師との関係性が学習指標に与える効果が大きいと言えます。

 

これ、実はイメージしやすかったりしませんか?

ヤンキー漫画って、どうしようもない不良生徒が、破茶滅茶なセンコーと衝突しつつも心を開いていき、ついには普通の生徒よりもすごい偉業を成し遂げてしまう、というストーリーが多いですが、現実も似たような感じなのかもしれませんね。

ろくでなしブルースとか、ルーキーズとか、そんなテイストです。

 


 

11歳の数学や自己調整力には、3〜4歳時の家庭内外の学習・遊びの質が関係

11歳の数学や自己調整力には、3〜4歳時の家庭内外の学習・遊びの質が関係

11歳の数学や自己調整力には、3〜4歳時の家庭内外の学習・遊びの質が関係

 

イギリスのEPPE研究の成果です。

EPPEとは、Effective Provision of Pre-School Educationの頭文字を取ったものです。

上の資料も国立教育政策研究所の資料から引用しました。

 

左右のグラフともに大きな塊が3つありますが、右に行くにつれて3〜4歳時の家庭環境の質が高くなっています。

3〜4歳時の家庭環境の質と、11歳時の数学力(左)や自己調整力(右)に相関関係があることがわかります。

 

また、それぞれの塊の中では、右に行くにつれて就学前教育の質が高くなっています。

3〜4歳時の就学前教育の質と、11歳時の数学力(左)や自己調整力(右)とに相関関係があることがわかります。

 

つまり、全体としては、3〜4歳時の家庭環境と就学前教育の質が高いほど、11歳時の数学(左)や自己調整力(右)が高いと言えます。

 

ただ、面白いことに、ここでもろくでなしブルース効果が見られます。

左右どちらのグラフも、一番左側の塊(家庭環境がよくない方)では、質の高い就学前教育を受けたら11歳時の数学(黒色グラフ)や自己調整力(濃いピンクのグラフ)が突出して高くなっています。

幼い頃の家庭環境の反動なのか、就学前教育の効果がめざましく現れた結果なのか、清々しい大逆転劇があるのですね。

 

就学前教育が将来の所得向上や生活保護”非”受給率の上昇につながる

就学前教育が将来の所得向上や生活保護"非"受給率の上昇につながる

就学前教育が将来の所得向上や生活保護”非”受給率の上昇につながる

 

就学前教育に関するアメリカの有名な教育プログラム『ペリー就学前計画』の研究結果です。

プログラムでは、就学前の低所得層のアフリカ系アメリカ人の3〜4歳の子どもに対して、午前中は学校で教育を行い、午後は家庭訪問を行って指導に当たることを、約2年間続けました。

そして、その後の40年間で追跡調査を行い、就学前教育がどの程度の効果をもたらすのかを調べたのです(参照)。

 

結果はグラフの通りで、

  • 月$2,000以上の割合
  • 持ち家率
  • 生活保護受給率

ともに2倍以上の差が出ました。

 

誰を対象とするかの選別があったので、残酷な計画ではありましたが、就学前教育がその後の人生に明らかによい効果を及ぼすことの確証を得られました。

 

まとめ:就学前教育は子どもの脳の成長を後押し

まとめ:就学前教育は子どもの脳の成長を後押し

まとめ:就学前教育は子どもの脳の成長を後押し

 

本記事では、SDGs目標4『質の高い教育をみんなに』に出てくる『就学前教育』とは何なのか、そして就学前教育の効果に関する研究成果を3つご紹介しました。

 

研究成果の概要は以下の通りです。

  • 教師との関係性がよいほど、3年生時点での学習指標が高い(アメリカNICHD)
  • 3〜4歳時の家庭環境や就学前教育の質が高いほど、11歳時点での数学や自己調整力が高い(イギリスEPPE研究)
  • 低所得層アフリカ系アメリカ人の3〜4歳の子どもに就学前教育を行ったあとの40年間の追跡調査で、そうではない子どもよりも、月収$2,000以上の割合、持ち家率及び生活保護受給率ともに2倍以上の向上が見られた(アメリカペリー就学前計画)

 

脳には可塑性(変化する力)があるのですが、幼いほど可塑性は高いとされていますから、早い教育が脳をより効果的に変化させるのでしょうね。

やり方は工夫が必要だと思いますが、僕も自分の子どもにはよい教育を受ける選択肢を与えたいものです。



コメント

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  2. […] 就学前教育とは?その効果を示す数々の研究結果もわかりやすく解説SDGs目標4に出てくるキーワード『就学前教育』。本記事では、就学前教育の意味を軽く説明したあと、これまで行わ […]

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