
レジ袋の有料化には色々な意見があるけど,SDGsとの関係を冷静に整理してみようと思う。
確かにあまり言及されていないよね。

否定的な意見もあるけど,別の記事で触れることにして,本記事ではSDGsとどのように関係するのか,ポジティブな立場でまとめてみるよ。
わかりやすく解説しますので,ぜひお読みください。
あなたの思考の整理に役立てばうれしいです。
プラスチック製レジ袋と環境問題の関係
全体の流れ~レジ袋の製造から廃棄まで~

全体の流れ~レジ袋の製造から廃棄まで~
プラスチック製のレジ袋は、上の図の流れで製造〜廃棄されます。
『他の方法もある!他の流れがある!』と言うご指摘はあると思いますが、典型的な流れは間違っていないはずです。
製造
まず、石油を原料としてエチレンを作り、エチレンをたくさんくっ付けてポチエチレンを作ります。
『ポリ(Poly)』は特定の低分子化合物をたくさん重合させた高分子化合物につけられる言葉です。
ポリエチレンを原料として、引き伸ばして袋として加工成形すると、プラスチック製のレジ袋が出来あがります。
こうして製造されたレジ袋は、スーパーやコンビニ等に販売されるわけですね。
消費〜廃棄
レジ袋は、買い物をした人によって運搬用に使われます。
基本的には、運搬の役目を終えたら1回限りで廃棄されます。
廃棄されるときは,家庭ごみに混じった状態でゴミ収集車(←業界ではパッカー車とも言います)に運ばれ,自治体のごみ焼却施設で燃やされます。
ごみ焼却施設が先進的で発電設備が付いていたら,焼却時の熱の一部は水から蒸気を作ってタービンを回し,電力として回収されます。
純粋なポリエチレンには炭素『C』と水素『H』しか含まれていないので,燃える(酸素『O』と結合する)ことによって,二酸化炭素『CO2』と水『H2O』になって大気中に出ていきます。
ここまでの流れを前提として,SDGsとどのように関係するのかを見ていきます。
SDGsに関しては簡単な説明記事も作ってあるので,よくわからない方はぜひ参照してくださいね。
SDGsの目標12『つくる責任 つかう責任』

SDGsの目標12-つくる責任つかう責任
まずはSDGsの目標12です。
目標12の個別の解説はこちらの記事を参照ください。
特に,ターゲット12.5に該当すると思います。
2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
レジ袋は廃棄されるものであるならば,レジ袋の生産数量を減らせば,廃棄されるレジ袋の量は必然的に減りますよね。
レジ袋を有料化することで,レジ袋の代わりにマイバッグを持参する人が増えてレジ袋の生産数量が減っていくので,廃棄物の削減につながるわけです。
SDGsの目標13『気候変動に具体的な対策を』

SDGsの目標13-気候変動に具体的な対策を
SDGsの目標13の達成にも貢献します。
目標13の具体的な解説はこちらの記事を参照ください。
特に,ターゲット13.3に該当すると思います。
気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
以下の通り,CO2の排出量を低減することになるため,『気候変動の緩和』につながる制度機能が改善されるのだと考えられます。
- レジ袋の生産に使われる電力の削減
石油を原料として,電力や熱を消費しながらレジ袋を製造しています。
電力について見ると,日本の場合は以下のグラフのとおり77%(2018年度)が石油・石炭・天然ガスに由来していますので,電力の使用が化石燃料の燃焼,つまりCO2の排出に大きく関係してきます。

日本の電源構成-2018年度
- レジ袋の運搬に使われるガソリンの削減
レジ袋は生産された場所から販売される場所(スーパーマーケットやコンビニ等)に運ばれます。
運搬手段のほとんどはトラックですから,トラックがガソリンを消費しながら運搬することになります。
『EVトラックを使っているぞ!』というご指摘もあるかも知れませんが,上述した通り電力の77%は石油・石炭・天然ガスに由来しているので,間接的にCO2排出量の増加につながっています。
レジ袋の使用量が減れば生産量が減り,流通量も減ります。
なので運搬されるレジ袋の総量が減るので,CO2排出量の低減につながるわけですね。
- 焼却されるレジ袋の削減
上述した通り,レジ袋は焼却されると二酸化炭素『CO2』と水『H2O』になります。
CO2を回収して別の何かに変換する技術等がない限り,大気に放出されます。
レジ袋の使用量が減れば,レジ袋の焼却量も減るので,CO2の排出量も減ります。
SDGsの目標14『海の豊かさを守ろう』

目標14~海の豊かさを守ろう
最後は,SDGsの目標14です。
目標14について具体的に知りたい方はこちらの記事を参照ください。
具体的にはターゲット14.1の達成に貢献すると思います。
廃棄されたレジ袋のすべてが回収されて焼却されるのならいいのですが,物事に100%はありません。
風によって収集所から飛ばされてしまったものや,ポイ捨てなどの悪意の廃棄をされてしまうケースがあります。
こうしたレジ袋は,雨や風によって川に集まり,海に流れていきます。
海では,レジ袋を大好物のクラゲと勘違いしたウミガメや,イカなどと勘違いしたクジラやイルカが誤って食べてしまいます。
結果として,↓こういう悲しい死を招きます。

レジ袋の分解が進んで細かくなると,口に入れられる生物が多くなるので,被害を受ける海洋生物はさらに増えます。
レジ袋の有料化によって使用量が減り,廃棄される量が減れば,海洋生物への致死的な影響を減らすことができるわけです。
【まとめ】SDGsの目標12,13&14に貢献
本記事では,レジ袋の有料化がSDGsに対してどのような効果をもたらすかを紹介しました。
レジ袋の製造から廃棄までの流れの概要が以下の通りです。
石炭を原料にしてポリエチレン製のレジ袋を作り,使用後は焼却炉で燃やされて二酸化炭素『CO2』と水『H2O』になって大気に放出されます。
次に,レジ袋の有料化とその結果の削減は,SDGsに対して以下のとおり貢献します。
- SDGs目標12『つくる責任 つかう責任』
レジ袋有料化によってマイバッグの使用が促進され、レジ袋の使用量が減ります。
その結果、廃棄されるレジ袋の量が減るので、SDGs目標12,ターゲット12.5の『廃棄物の発生を大幅に削減』に貢献します。
- SDGs目標13『気候変動に具体的な対策を』
レジ袋の使用量が減ると、①レジ袋の生産に使われる電力、②レジ袋の運搬に使われるガソリン、③レジ袋の焼却量、が削減されます。
これらは全てCO2の発生に繋がりますので,レジ袋の使用量が減ると、①〜③に起因するCO2の発生量が減ります。
SDGs目標13のターゲット13.3『気候変動の緩和に関する制度機能の改善』につながります。
- SDGs目標14『海の豊かさを守ろう』
廃棄されたレジ袋は川から海に流れ込み,海洋ごみとなって多くの海洋生物にダメージを与えます。
レジ袋の使用量が減れば,こうした痛ましい事態も防げるというもの。
SDGs目標14のターゲット14.1に書かれている『海洋ごみを含む海洋汚染の防止・削減』につながります。
以上になりますが,ご理解いただけたでしょうか。
良し悪しは置いといて,レジ袋の有料化とそれに伴うレジ袋の削減は,SDGsに達成に間違いなく貢献していると考えられます。
コメント
[…] レジ袋有料化がSDGs的にどのような効果をもたらすのかを記事にしたので、ぜひ読んでみてください。 スポンサーリンク […]
100円ショップでレジ袋売り場は明らかに増えましたよ
エコバッグはレジ袋よりも重く作るのも運ぶのもエネルギーが必要です
もともとレジ袋は産廃のリサイクルです
レジ袋は殆んどゴミ袋として再利用されていること
世界でもごみのポイ捨てが少ない点を掛け合わせれば
日本でやっても大した効果はありません
ご意見ありがとうございます!
使用する材料も多いわけではないので、資源循環への効果の点では小さいでしょうね〜
何かしら始めたかった政府の、苦し紛れの策なのかもしれません。