
『ダイバーシティ』はよく聞くけど、最近は『インクルージョン』て言葉も同じような文脈で聞くことがある。何が違うんだろう··?
その疑問に答える記事を用意しました。
SDGsにも深く関係するので、内容を理解しておきたい用語です。
本記事では、ダイバーシティとインクルージョンの意味や両者の違いをシンプルに説明します。
ダイバーシティについて
ダイバーシティの意味

ダイバーシティの意味
早稲田大学の谷口真美教授の論文によると、ダイバーシティは以下の通りとされています。
『個人の持つあらゆる属性の次元』

ぼやっとしてて抽象的だね。。

この表現だけだとよくわからんね(・・;) 論文には具体例として以下が紹介されているよ。
- 居住地
- 家族構成
- 習慣
- 所属組織
- 社会階級
- 教育
- マネジメントスタイル
- コミュニケーションスタイル
- 人種、民族
- 性的指向
- 職歴
- 年齢
- 未既婚
- 趣味
- パーソナリティ
- 宗教
- 学習方式
- 外見
- 収入
- 国籍
- 出身地
- 役職
- 体格
- 性別
- 勤続年数
- 勤務形態
- 身体的能力
イメージが湧いたでしょうか?
一般的に言われているような、性別、年齢、人種、民族の違いだけではないんですよね。
個人の属性すべてを指して、ダイバーシティと呼ばれます。
ダイバーシティの起源

ダイバーシティの起源
早稲田大学教授の谷口真美さんの論文『組織におけるダイバシティ・マネジメント』によれば、ダーバーシティの起源は、1964年の米国です。
単一民族国家の日本とは違い、基本的に移民によって建国・成長してきた米国には、様々な民族が存在していました。
つまり、異なる民族が同じ大陸に存在していたことで様々な『違い』を昔から経験してきたのですね。
だからダイバーシティが豊かな反面、差別の歴史が長いとも言えます。
しかし、米国では1964年に雇用機会均等法が成立したことがきっかけで、それまで不利益を被ってきた有色人種や女性の扱われ方が変わってきました。
1970年代初めまでは慣行の大きな変化は見られませんでしたが、1980年にかけてダイバーシティを許容する風潮が・急速に広がったそうです。
ダイバーシティが使われる文脈とイメージ
ダイバーシティ(Diversity)は『多様性』と訳されることが多いので、
- ダイバーシティ(多様性)が豊か
- ダイバーシティ(多様性)が認められる
- ダイバーシティ(多様性)が乏しい
のように使われます。
図で見てみると、左がダイバーシティに乏しい状態、右がダイバーシティが豊かな状態です。

ダイバーシティの違い
属性のばらつきが大きいほど、ダイバーシティが豊かだと言えます。
インクルージョンについて
インクルージョンの意味

インクルージョンの意味
インクルージョンは聞き慣れない英語かもしれません。
意味は『包含』です。
区別や差別をすることなく、ひとまとまりにするイメージですね。
SDGsのターゲットにも『包含』が数多く登場しますよ。
インクルージョンの起源

インクルージョンの起源
早稲田大学の森さんの論文『知的障がい者との共生社会の実現』を読むと、インクルージョンの起源は1974年のフランスのようです。
ただし、最初に使われた言葉はインクルージョンではなく、反対の意味である『エクスクルージョン(Exclusion、排除)』でした。
ルネ·ルノワールが著書の中で、社会的に排除された人たちを指して『エクスクルージョン』を使ったのです。
その後、1980年代のフランスではグローバル化の波の中でアフリカ系イスラム教徒が貧困移民として移住してきました。
貧困移民がエクスクルージョンの対象となってしまったことは想像に難くありません。
このようなエクスクルージョンに対してフランス政府が社会的正義と公平を求めて、『インクルージョン』の政策を打ち出したのです。
インクルージョンが使われる文脈とイメージ
例えば以下のように使われます。
- インクルーシブな教育
- インクルーシブな社会
図で見てみると、左がインクルーシブでない状態(エクスクルーシブな状態)で、右がインクルーシブな状態です。

エクスクルーシヴとインクルーシヴ
エクスクルーシブな状態では特定の属性を持つ人々を排除していますが、インクルーシブな状態ではみんな一緒でひとまとまりです。
ダイバーシティとインクルージョンの関係

ダイバーシティとインクルージョンの関係
ダイバーシティとインクルージョンのそれぞれを説明してきました。
では、両者の違いや関係にも触れておきます。
ダイバーシティは、個人のいろいろな属性を認めること、
インクルージョンは、いろいろな属性の人たちを排除せずに教育などの具体的な取り組みを行うことです。
つまり、ダイバーシティはインクルージョンの前提なのです。
個人の様々な特性(ダイバーシティ)を認めたうえで、排除せずに教育等を行う(インクルージョン)、という関係です。
SDGs目標10『人や国の不平等をなくそう』との関係

SDGsとの関係: 目標10『人や国の不平等をなくそう』
SDGsとの関係を見ておくと、まず目標10が浮かび上がってきます。
具体的にはターゲット10.2です。
2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
ダイバーシティもインクルージョンもターゲット10.2に含まれています。
まず、ダイバーシティは『・・・その他の状況に関わりなく』の部分です。
どんな状況だろうと、人それぞれ違いますからね。
次にインクルージョンは『社会的、経済的及び政治的な包含をを促進する』の部分ですね。
みんなをひとまとまりにして社会・経済・政治を進めていくことを目指しています。

まとめ
本記事では、ダイバーシティとインクルージョンの意味や互いの関係などをできるだけ噛み砕いて開設しました。
何気なく使ってしまいそうな耳心地のよいカタカナ語ですが、意味や使い方を理解したうえで適切に使いたいですね。
以下はまとめです。
- ダーバーシティ
早稲田大学の論文によると『個人の持つあらゆる属性の次元』とされ、性別な年齢、国籍以外にも個人の属性すべてがダイバーシティの対象となります。
様々な属性の人たちとの共存を広く認めた状態が『ダイバーシティが豊か』の状態です。
1964年の米国が言葉の発祥地です。
- インクルージョン
インクルージョンは『包含』で、ひとまとまりにしているイメージです。
同じく早稲田大学の論文によると、フランスが1974年に反対の意味の言葉『エクスクルージョン』と使ったことが、『インクルージョン』の言葉が生まれるきっかけとされています。
- ダイバーシティとインクルージョンの関係
豊かなダイバーシティが存在したうえで、教育や仕事などの具体的な取り組みをみんなで行う(インクルージョン)ことが自然なイメージです。
ダイバーシティはインクルージョンの前提となっているわけですね。
参考になったら嬉しいです^^
コメント
[…] ダイバーシティとインクルージョンって同じ?違う?図解してみたダイバーシティとインクルージョン。。。似たいような意味合いで、使い方の区別も難しいかもしれませんね。本記事 […]
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