
SDGsの目標12のターゲット12.1に出てくる『持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)』って,一体何なんだ・・?
本記事では,そのような疑問にお答えする内容をまとめました。
本記事では,『持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)』の内容をわかりやすくお伝えします。
読んだ後は,『だいたいこんな感じ』くらいに概要を理解できるようになっていますよ^^
10YFPが登場する目標12についてはこちらの記事にまとめましたので、ぜひ参照ください。
持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)とは?
定義
『持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み』は長いので、略語を使います。
英語で表現すると以下の通りなので、10YFPと呼ばれています。
the 10–Year Framework of Programmes on Sustainable Consumption and Production Patterns
端的にいうと,10YFPは,
- 持続可能な消費と生産のスタイルを確立するために
- 10年間かけて行うプログラム
です。
ちなみに,『持続可能な消費と生産』のことを,『SCP』(Sustainable Consumption & Production)と表記することがあるので,覚えておくといいですね^^
誰がいつ決めたのか

誰がいつ決めたのか
(画像は外務省Webサイトより)
10YFPは,上の図の緑色の部分『リオ+20』(2012年@リオデジャネイロ)で採択されました。
国連で決めたことなので,国連の加盟国が議論して決めたことになります。
ちなみに、『リオ+20』はSDGsのきっかけの場でもあるんですよ^^

具体的には何をするのか
10YFPでは、次に紹介する6つのことに取り組みます。
1. Sustainable Public Procurement(公共調達)
公共調達,つまり政府や自治体が資材を調達する過程を持続可能なものにしていくことです。
僕の私見ですが,日本はまだマシになったとはいえ,公共調達には往々にして汚職が絡んできますからね。
汚職が絡むと,一時的に利益を得る人たちはいるでしょうが,いずれは法によって取り締まられて破綻することから,持続可能な風習ではないんですよね。
公共調達を安定的に長く続けられる政策,制度や商慣習などを確立するために,本項目が存在します。
2. Sustainable Tourism(持続可能な観光)
持続可能な観光です。
何のことかわかりにくいですが、観光業界は人や物の移動に多大な資源やエネルギーを費やします。
移動するにも、飛行機や自動車から大量の温室効果ガスを排出しますし、観光客が出すゴミも多量です。
そのため、資源の生産や消費に大きなインパクトを与えると考えられます。
各国が情報を共有し協力し合い、観光業における資源の生産や消費を持続可能なものに変えていく。
それがSustainable Tourismです。
3. Consumer Information for SCP(持続可能な消費と生産に関する情報)
SCP(持続可能な消費と生産)に関する良質な情報を消費者に届ける活動です。
生産と消費のうち,『消費』の主役は文字通り消費者です。
消費者が間違った知識や情報を持っていたら,ゴミの分別をまともに行わないかもしれないし,ムダな大量消費をするかもしれません。
正しい情報と知識を消費者に持ってもらうために,商品やサービスの正しい情報を伝える活動が必要です。
4. Sustainable Buildings and Construction(持続可能な建物と建設)
建物と建設を持続可能なものにしていく活動です。
例えば,使い捨て感覚で建物を建てたり壊したりするのではなく,メンテナンスや改修を適切に行うことによって長く使い,取り壊した後も適切に再利用する。
そうすることで建設系の廃棄物も抑えられるので,環境への影響も減らすことができます。
5. Sustainable Food Systems Programme(持続可能な食糧供給システムのプログラム)
持続可能な食糧供給の仕組みを作る活動です。
日本では飢餓はほぼなくなりましたが,世界では飢餓状態にある地域がまだ多く存在しています。
かといって,無計画に焼き畑農業をして農地を広げたり,安全性の不確実な農薬や遺伝子組み換え技術によって,強引に生産量を増やすことは,適切な方法ではありません。
一時的には凌げても,自然破壊や気候変動,健康被害などが発生し,『持続可能』とは到底言えないからです。
長く持続できる食糧生産の仕組みによって食糧問題にアプローチしていく活動が必要です。
6. Sustainable Lifestyles and Education(持続可能な生活様式と教育)
『持続可能な生活様式と教育』と訳されます。
持続可能な生活様式(ライフスタイル)がどういうものかを学び,それらが素晴らしいものだということを,社会全体としてサポートしながら意識づけていく活動です。
一部の識者や機関が声高に『みんな!持続可能な生活様式をぜひ!』と叫ぶよりも,こうやって国連レベルから政府や行政機関,民間企業,個人に発信してくれると,意識の浸透も早いですよね。
10YFPとSDGsとの関係
10YFPもSDGsも,きっかけとなったのは『リオ+20』ですから,兄弟のようなもの。両者は密接に関係しています。
SDGs目標4

目標4~質の高い教育をみんなに
上で紹介した6番目の『Sustainable Lifestyles and Education』にしっかり”Eduaction“とありますね。
持続可能な教育をすることは、SDGsの目標4『質の高い教育をみんなに』に対応するわけです。
SDGs目標8

SDGsの目標8-働きがいも経済成長も
1番目のSustainable Public Procurement(公共調達)には,適切な労働環境で生産されたものを購入する意図がありますが,ターゲット8.8は,まさに労働環境の改善を謳っています。
移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、全ての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
SDGs目標9

目標9~産業と技術革新の基盤をつくろう
SDGs目標9『産業と技術革新の基盤をつくろう』には,上記の6つの項目のうち少なくとも2つが関係します。
1つ目は『Sustainable Buildings and Construction(持続可能な建物と建設)』です。
持続可能な建物や建設を行おうとすると,『CO2排出量を抑えるために断熱性能の高い構造にする』とか,『廃棄物を減らすために,革新的なリサイクル技術を開発する』など,技術が前に進むことが想定されます。
2つ目は『Sustainable Food Systems Programme(持続可能な食糧供給システムのプログラム)』です。
持続可能な食糧供給システムを構築するために,『品種改良』や『農地の有効利用』,『サプライチェーンの合理化』などにおいても技術革新が起き,産業が成長します。
SDGs目標11

目標11~住み続けられるまちづくりを
SDGs目標11『住み続けられるまちづくりを』にも,『Sustainable Buildings and Construction(持続可能な建物と建設)』が関係してきます。
街を構成する『建物』が持続可能でなければ,地球全体の長い目で見て『住み続けられる』とは言えませんからね。
SDGs目標12

SDGsの目標12-つくる責任つかう責任
SDGs目標12『つくる責任 つかう責任』には,少なくとも2つが関係します。
1つ目は『Consumer Information for SCP(持続可能な消費と生産に関する情報)』です。
つくる=生産,つかう=消費,と,裏を返したように対応していますよね。
2つ目は『Sustainable Lifestyles and Education(持続可能な生活様式と教育)』です。
生活様式を持続可能なものにすることは,『つかう責任』の一部です。
SDGs目標17

SDGsの目標17『パートナーシップで目標を達成しよう』
SDGsの目標17『パートナシップで目標を達成しよう』は,禁断の魔法のような目標です。
なぜなら,ちょっと複数の関係者で協力しただけで『うちはSDGsの目標17に貢献しているんだぜ!ドヤぁ。』と半端にイキる会社を生み出してしまうからです。
ご多分に漏れず,10YFPの6つの取り組みも『関係者で協力』の要素が含まれているので,6つすべてがSDGsの目標17と関係しています。
まとめ
本記事では,『持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)』を6つの取り組みに分解して解説しました。
また,10YFPとSDGsとの関係もお伝えしました。
10YFPもSDGsも,きっかけは『リオ+20』ですが,10YFPの方が先に決まって運用されているので,SDGsの兄貴分のような存在だと思います。
SDGsを学んでいくうえでも,目標12『つくる責任 つかう責任』のターゲット12.1に10YFPが出てきますので,一緒に学んでおいて損はありませんよ(^^)
コメント
[…] に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。 […]