
SDGs(持続可能な開発目標)について理解したい。
教科書的な講釈はもういいから、事業で使えるように事例で学びたい!
そういったご要望に以下の内容でお答えします。
- SDGsの目標14(海の豊かさを守ろう)の具体的な内容
- 目標14に関する企業の取り組み事例3つ(ダイジェスト)
記事を読み終えると,SDGsの目標14を実践的に理解できます。
実践的に理解することで、事業提案に活かすヒントが見つかったり,ディスカッションに深みが増しますよ。
SDGsにピンと来ない方は,ひとまずこの動画で勢いをつけてからどうぞ。
SDGsの目標14『海の豊かさを守ろう』の【必要性】

SDGsの目標14『海の豊かさを守ろう』の【必要性】
SDGs目標14がなぜ必要なのか,わかりやすい数字で現状を見てみます(出典1,出典2)。
- 30億人:海に関する生物多様性によって生活を支えられている人数
- 26%:産業革命前からの海水の酸性度の上昇率(2100年までに100~150%上昇と予測)
- 67%:生物学的に持続可能な魚の数に対する割合(1974年は90%)
- 104:202の沿岸地域のうち2012年~2018年の間に水質改善に成功した地域
- 17%:国家の管理区域となっている海域のうち,保護区の割合(2010年から2倍に増加)
30億人もの人々の生活を支える海が危機に瀕しています。
『海洋酸性化』と言われ,大気中の二酸化炭素を海が吸収しているようで,海水が酸性化しているのです。
海の生物にとって環境が変わるわけですから,生態系に影響を与えます。
生態系への影響は,上に挙げた数字の通り魚の数の激減という形で表れています。
魚の数が減れば30億人の生活もおびやかされます。
海の環境を改善しようと思っても,今日対策して明日結果が出るものではなく,年単位の長い期間が必要になってきます。
すでに保護区の設定や水質改善に取り組んではいるものの,生態系の回復がわかるまでのデータを得られていません。
取り組みを世界的に広げて,至急行動することが求められています。
SDG目標14について,わかりやすいアニメーションムービーがあるので,気楽な感じで観てみてください^^
SDGsの目標14の【具体的内容】
5Psの中の目標14の位置づけ

5Psの中の目標14の位置づけ
SDGsには5つの柱があり,僕は5Ps(ファイブ・ピーズ)と呼んでいます。
5つの柱はすべてアルファベットの“P”で始まるからですね。
具体的には,以下の5つです。
- People (人)
- Prosperity (繁栄)
- Planet (地球)
- Peace (平和)
- Partnership (協力)
SDGsの17個の目標は,この5Psのどれかの分野に関するものです。
目標14は海の環境に関係するので、『Planet(地球)』に深く関係しています。
5Psについては別の記事でしっかり説明したので,興味があればぜひお読みください。

SDGsの目標14~海の豊かさを守ろう

目標14~海の豊かさを守ろう
SDGsの目標14は『海の豊かさを守ろう』です。
ロゴの英語版では『Life Below Water』(ライフ・ビロウ・ウォーター)と書かれています。
直訳すると『水の中の命』ですかね。
SDGs宣言文の原文では以下の通りに書かれています。
Conserve and sustainably use the oceans, seas and marine resources for sustainable development
『持続可能な開発のために,海の資源を保全して,持続可能な方法で使おう』と訳してみます。
目標14の10個のターゲット

SDGs-目標-ターゲットの関係
SDGsには17個の目標から成り立ち,17個の目標は169個のターゲットから成り立っています。
階層構造ですね。
SDGsの目標14をさらに具体的な達成目標に分解すると,以下の10個のターゲットになります。
No. | 内容 |
14.1 | 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。 |
14.2 | 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。 |
14.3 | あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。 |
14.4 | 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。 |
14.5 | 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。 |
14.6 | 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。 |
14.7 | 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。 |
14.a | 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。 |
14.b | 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。 |
14.c | 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。 |
一般的な知識はここまでにしましょう。
目標14を実践的に理解するために、企業の取り組み事例を見ていきます。
SDGsの目標14【企業の取り組み事例3つ】
今回ご紹介するのは、以下の3つの企業・団体の取り組みです。
- 公益財団法人イオン環境財団
- 株式会社SUSTAINABLE JAPAN
- ミス日本協会
イオン環境財団の取り組み:環境活動への助成金の交付

イオン環境財団の取り組み:環境活動への助成金
AEON(イオン)グループが資金を出して環境貢献のために1990年に設立した財団,それが『イオン環境財団』です。
SDGs目標14に対するイオン環境財団の取り組みとしては,『環境活動への助成金の交付』ですね。

イオン環境活動助成
(画像は同財団Webサイトから引用)
助成の対象となる環境活動は以下の4つです。
- 植樹
- 里地・里山・里海の保全,河川の浄化
- 自然環境教育
- 野生生物・絶滅危惧生物の保護
いずれも素晴らしい活動ですが,特に目標14に関係するものは『2. 里地・里山・里海の保全,河川の浄化』だと考えられます。
広い視点で見たら,これらすべて『水の通り道』ですからね。
里海の保全は直接的に海の環境改善につながります。
里山や里地,河川を保全することで,海に流れていく水を改善につながるので,間接的に海の環境改善につながります。
もしあなたが環境活動をされているなら,応募してみてはいかがでしょうか(^^)
(応募の詳細はこちら)
SDGsの目標14との関係を考えると,イオン環境財団の取り組みはターゲット14.2の達成に貢献すると考えられます。
助成金をもらった団体が活動することで『海洋及び沿岸の生態系の回復』につながるので,イオ環境財団はそのための『取組』と考えられます。
間接的ではありますが,とても重要です。
お金があれば環境活動の幅は広がりますからね。
2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。

SUSTAINABLE JAPANの取り組み:SEABINの販売・リース
(↑SEABIN(シービン)の公式動画)
SUSTAINABLE JAPANは,熊本県熊本市に本社を持つ環境系の活動会社です。
同社は面白い商品を日本に普及しているんです。
それは『SEABIN(シービン)』です。直訳すると『海のごみ箱』です。
海水を吸い込んで吐き出すための小型のポンプがついていて,フロート(浮き輪)と組み合わせて効率的に海面のごみをキャッチしていきます。
電力は必要なので,太陽光などの再エネで賄えたら最高ですね!
2mm以上の小さなごみも取れるので,廃プラ問題にも有効です。
導入を検討される場合には,ぜひ『干潮と満潮の水位差をどのように吸収するのか』をヒアリングしてみてください。
少し気になる点です。
SDGsの目標14を考えると,SUSTAINABLE JAPANの取り組みはターゲット14.1の達成に貢献すると考えられます。
2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

ミス日本協会の取り組み:20年以上続く『海の日』の活動

ミス日本協会の取り組み:20年以上続く『海の日』の活動
ミス日本協会の説明は不要ですね。
表現がいいかどうかは置いといて、僕の『ミス日本協会』の印象は『凛として教養があって素敵な日本女性の集まり』でした。
しかし、様々な社会貢献活動をしているのですね!
失礼ながら初めて知りました。
とても多くの取り組みをされているのですが、SDGs目標14に関しては『海の日』に絡めて活動されています。
毎年,“ミス日本『海の日』”を選出し,
- 航行の安全呼びかけキャンペーン(ポスターモデル起用)
- 稚魚の放流活動
- ボートの操縦活動
- 新造船の公開イベント出席
などの海に関する活動を1995年から20年以上もの間,継続されています。
Instagram(インスタグラム)でも発信をされていて,ボートの操縦の様子も発信していますね!
SDGsの目標14を考えると,ミス日本『海の日』の活動は特定のターゲットではなく目標14全体への啓発だと考えられます。
まとめ
SDGsの目標14『海の豊かさを守ろう』は,5Psのうち『Planet(地球)』に関するものでした。
また,目標14に関する企業の取り組みとして,
- イオン環境財団:環境活動への助成金の交付
- SUSTAINABLE JAPAN:SEABINの販売・リース
- ミス日本協会:20年以上続く『海の日』の活動
をご紹介しました。
気候変動に関する目標13と同様に,海の豊かさを取り戻すにも,対策の効果が表れるまでに年単位の長い時間を必要とします。
なのですぐに身近な行動に移したいですが,何から手を付けたらいいのか迷いますよね。
江ノ島あたりでビーチクリーン活動を行うNPO法人『海さくら』という団体もあるので,気軽に参加してみはどうでしょう^^

本記事を通して,SDGs達成への取り組みがどういうものか,イメージを持っていただけたら嬉しいです。
SDGs関連の記事をこれからも作っていきますので,また読みに来てくださいね(^^)
コメント
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