
SDGs(持続可能な開発目標)について理解したい。
教科書的な講釈はもういいから、事業で使えるように事例で学びたい!
そういったご要望に以下の内容でお答えします。
- SDGsの目標12(つくる責任 つかう責任)の具体的な内容
- 目標12に関する企業の取り組み事例3つ(ダイジェスト)
記事を読み終えると,SDGsの目標12を実践的に理解できます。
実践的に理解することで、事業提案に活かすヒントが見つかったり,ディスカッションに深みが増します。
SDGsにピンと来ない方は,ひとまずこの動画をどうぞ。
SDGsの目標12『つくる責任 つかう責任』の【必要性】

SDGsの目標12『つくる責任 つかう責任』の【必要性】
- 430億トン:1990年の物質使用量
- 540億トン:2000年の物質使用量(10年で1.25倍)
- 920億トン:2007年の物質使用量(7年で1.70倍)
- 3個:2050年に今のライフスタイルを維持するために必要な地球の数
- 1/5:先進国は後進国に比べて1/5の天然資源で同じ経済活動ができる
- 60%:中進国に比べて先進国は1人あたり60%も多く資源を使っている
- 13倍:後進国に比べて先進国は1人あたり13倍も多く資源を使っている
桁が大きすぎて資源の量は想像が難しいですが,『地球の資源を大量に消費している』ってことは感覚的にわかりますよね。
しかも1990年→2000年と,2000年→2007年をみると,増え方が急になっていますよね。
資源の消費量が加速度的に増えているんです。
消費した先は廃棄です。
適切に廃棄できないと,地球を汚すことになってしまいます。
現在の僕たちは,たくさん消費して,たくさん廃棄して,たくさん汚しているわけです。
2050年には人口が約100億人になって,いまのライフスタイルを継続するためには地球が3個分必要になるって。。詰みますよね。
僕たちが地球の資源の大切に使うことを学んで,地球の資源や環境とバランスを取って成長していくために,目標12が存在するのだと考えられます。
トーマスも言ってますね(^^)
SDGsの目標12の【具体的内容】
5Psの中の目標12の位置づけ

5Psの中の目標12の位置づけ
SDGsには5つの柱があり,僕は5Ps(ファイブ・ピーズ)と呼んでいます。
5つの柱はすべてアルファベットの“P”で始まるからですね。
具体的には,以下の5つです。
- People (人)
- Prosperity (繁栄)
- Planet (地球)
- Peace (平和)
- Partnership (協力)
SDGsの17個の目標は,この5Psのどれかの分野に関するものです。
目標12は生産・消費活動を通じた地球の資源循環に関係するので、『Planet(地球)』に深く関係しています。
5Psについては別の記事でしっかり説明したので,興味があればぜひお読みください。

目標12~つくる責任 つかう責任

SDGsの目標12-つくる責任つかう責任
SDGsの目標12は『つくる責任 つかう責任』です。
ロゴの英語版では『Responsible Consumption and Production』(レスポンジブル・コンサンプション・アンド・プロダクション)と書かれています。
『責任ある消費と生産』そのままですね。
SDGs宣言文の原文では以下の通りに書かれています。
Ensure sustainable consumption and production patterns
『持続可能な消費と生産を確実なものにする』と訳してみます。
目標12の11個のターゲット

SDGs-目標-ターゲットの関係
SDGsには17個の目標から成り立ち,17個の目標は169個のターゲットから成り立っています。
階層構造ですね。
SDGsの目標12をさらに具体的な達成目標に分解すると,以下の11個のターゲットになります。
No. | 内容 |
12.1 | 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。 |
12.2 | 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 |
12.3 | 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。 |
12.4 | 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 |
12.5 | 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 |
12.6 | 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。 |
12.7 | 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。 |
12.8 | 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。 |
12.a | 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。 |
12.b | 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。 |
12.c | 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。 |
一般的な知識はここまでにしましょう。
目標12を実践的に理解するために、企業の取り組み事例を見ていきます。
SDGsの目標12【企業の取り組み事例3つ】
今回ご紹介するのは、以下の3つの企業の取り組みです。
- アディッドバリュー株式会社
- リビエラグループ
- 戸田建設株式会社
アディッドバリューの取り組み:おからクッキー

アディッドバリューの取り組み:おからクッキー
アディッドバリューは東京都千代田区に拠点を置く会社です。
法人向けのギフトサービス『okurimono-おくりもの-』や,プレゼント情報サイト『プレゼントボックス』などを運営しています。
SDGsの目標12に関する取り組みとしては,おからクッキーの商品(ビジネスギフト)化です。
おから・豆腐系のお菓子メーカ『十二堂』と提携し,okurimonoで企業向けギフトとしておからクッキーを扱っています。

おからクッキーの商品(ビジネスギフト)化
あなたはおからを食べますか?
僕はたくさん食べます。
おからって,味わいは素朴で,栄養価も高くて,安い。
最高です。
アディッドバリューの説明によると,おからは毎年35万tonが焼却処理されているそうです。
なんともったいない。。。

おからの行方
この結果,地球や人類にとってマイナスになりそうな以下の影響があります。
- 35万tonのおからを運ぶための労働
- 35万tonのおからを運ぶために必要なエネルギー(ガソリン?)
- 35万tonのおからを運ぶ時に出る排ガス
- 35万tonのおからを焼却する際に出る排ガス
- おからの焼却灰(3万tonくらいかな)を運ぶための労働
- おからの焼却灰を運ぶために必要なエネルギー(ガソリン?)
- おからの焼却灰を運ぶ時に出る排ガス
おからをクッキーにして人間の食糧にすることで,上に挙げた影響を緩和することができるのです。
十二堂も,生産者として『つくる責任』(の一部)を全うしていると言えます。
SDGsの目標12を考えると,アディッドバリューの取り組みはターゲット12.3とターゲット12.5の達成に貢献すると考えられます。
2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
↓アディッドバリューの取り組み↓

リビエラグループの取り組み:としまフードサポートプロジェクト参加

リビエラグループの取り組み:としまフードサポートプロジェクト参加
リビエラグループは,東京都港区に本社を持つレストラン・リゾート企業です。
1950年に池袋に料亭を構えて以降,レストラン,リゾート施設,結婚式場,ホテル,スパ等に業態を広げてきた企業です。
SDGs目標12に対するリビエラの取り組みは,『としまフードサポートプロジェクト』への参画です。
『としまフードサポートプロジェクト』は,豊島区内で就学援助を受けている家庭を対象に食品の無償で提供するものです。
リビエラグループは,結婚式場やレストランを経営していますよね?
食材の調理の過程で余った食材を煮込んで,カレーにしました。
そしてカレーをパックにして,約100個を提供したとのこと。
余った食材を廃棄する場合,おからクッキーの事例で挙げた通り,環境へのマイナスの影響が考えられます。
しかし,余ったものをカレーにして食べることで,環境への影響を低減することができるのです。
リビエラグループは,料理の生産者として『つくる責任』(の一部)を果たしているわけですね。
SDGsの目標12を考えると,リビエラグループの取り組みはターゲット12.3とターゲット12.5の達成に貢献すると考えられます。
2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

戸田建設の取り組み:重金属汚染土壌の浄化システム

戸田建設の取り組み:汚染土壌の浄化システム
戸田建設は東京都中央区に本社を置く,中堅の建設企業です。
戸田建設は,『重金属汚染土の浄化システム』でSDGs目標12の達成に貢献しています。
下の図を見てください。
トンネルを掘る場合には,『シールドマシン』と呼ばれる大きなドリルを使うことがあります。

戸田建設の取り組み:汚染土壌の浄化システムの概要
穴を開けた分,土を地上に出す必要があります。土の行き場が無くなってしまいますからね。
土を地上に出す方法には色々とありますが,戸田建設は泥水にして排出しています(図の『排泥管』から)。
排出された泥水は『重金属汚染土浄化システム』で浄化され,『浄化土』と『汚染土』が取り出されます。
処理された泥水は再びシールドマシンに送られ(図の『送泥管』),『チャンバー』と呼ばれる隙間の圧力を高めます。
チャンバーに圧力がかかっているからこそ,外部の土や地下水の圧力に負けずにシールドマシンは掘り進んでいけます。
戸田建設の説明によると,以下の事情を鑑みて『重金属汚染土浄化システム』を開発したそうです。
- 首都圏では大深度のトンネル工事が増加
- 大深度ではヒ素などの自然由来の重金属が多い
- 重金属の掘削土砂の処理には大きなコストがかかっていた(全量埋め立てを想定)
『重金属汚染土浄化システム』を使えば,『浄化土』と『汚染土』に分けられますので,埋め立てる量を削減でき,環境負荷も処理コストも削減できるのですね。
もちろん『浄化土』は再利用です。
戸田建設は,トンネルの生産者として『つくる責任』(の一部)を果たしているわけですね。
SDGsの目標12を考えると,戸田建設の取り組みはターゲット12.4とターゲット12.5の達成に貢献すると考えられます。
2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
まとめ
SDGsの目標12『つくる責任 つかう責任』は,5Psのうち『Planet(地球)』に関するものでした。
また,目標12に関する企業の取り組みのダイジェストとして,
- アディッドバリュー:おからクッキー
- リビエラグループ:としまフードサポートプロジェクト参加
- 戸田建設:重金属汚染土壌の浄化システム
をご紹介しました。
SDGs達成への取り組みがどういうものか,イメージを持っていただけたら嬉しいです。
本記事で紹介した取り組みは企業側のものであり,『つくる責任』に関するものでした。
『つかう責任』については,個人でできることを記事で紹介していこうと思います^^
SDGs関連の記事をこれからも作っていきますので,また読みに来てくださいね(^^)
コメント
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