✔ 簡単に読めて,内容がまとまっている記事があればベター
✔ 取り組みとSDGsのつながりをしっかり理解しておきたい
そんなあなたに向けて記事を書きました。
本記事では,以下の情報をわかりやすくまとめて解説します。
- ANA(全日空)の取り組み事例の全体像
- ANAの個別の取り組みとSDGsとの関係
読み終えたら,あなたの中に企業の取り組み事例がまた1つ蓄積されます。
ぜひお役立てください。
ANA(全日空)とはどんな会社?

ANA(全日空)とはどんな会社?
ANAは日本の片翼を担うといっても過言ではない航空会社です!
正式には『全日本空輸』というのですね。
創業は2012年と記載しましたが,ホールディングス化にともなってグループ企業の再編成をしたことによるものです。
本当のANAの創業年は1952年です(会社沿革を参照)。
1952年はこんな年↓
- 国会中継の放送がスタート
- 琉球中央政府が誕生
- 永谷園の『お茶漬け海苔』が発売開始
- 羽田飛行場が国際空港として営業開始
- 日テレが設立
日本の社会の一部が形成されていた頃ですね。
日テレ以外にも,東北放送や静岡放送,中国放送など,放送事業がいくつもスタートしています。
ANA(全日空)のSDGsに対する取り組み
ANAの取り組みの全体像

ANAの取り組みの全体像
ANAは以下の4つジャンルで重要課題を設定しています。
- 環境
- 地域創生
- 人権
- ダイバーシティ&インクルージョン
ANAは,下の図の通り『経営軸』『社会軸』の2つの軸で重要度を考えて,4つのジャンルを設定したとのことです。

重要課題の整理
(画像は同社Webサイトに基づいて作成)
自社の事業活動を通じて,社会にとって必要なことを提供していくということですね!
ANAの課題設定方法はとても参考になるので,参考にされるといいと思います。
本記事では、数ある取り組みの中から以下の3つをご紹介します。
- SDGs目標10:樹脂製車いす『molph』の使用
- SDGs目標11:災害支援活動
- SDGs目標7&12&13:バイオジェット燃料の導入
【目標10】樹脂製車いす『molph』の使用

【目標10】樹脂製車いす『molph』の使用
取り組み詳細
ANAのSDGsに対する取り組み『ダイバーシティとインクルージョン』の中からピックアップしました。
ANAは『お客様のダイバーシティ』に着目し、多様性を尊重する共生社会の実現に貢献することを宣言。
ダイバーシティとは多様性のことを指す言葉であり、ANAグループはあらゆる人に対応できる『ユニバーサルなサービス』の強化に情熱を燃やしています。

例えば、移動に不便を感じている方、周囲への迷惑を危惧して遠慮している方、障害があることで広い通路の確保や通訳を必要とされている方など。
1人1人感じ方が違う感性に着目して、多様性に対応できるよう各場面での準備を進めています。
世界の窓口である空港を使う仕事だからこそ、多様性を積極的に受け入れる必要があるのですね。
ANAの具体的な取り組みの1つが,樹脂製の車いす『morph』の導入です。下の動画が参考になります。
金属探知機で毎回引っかかっていては,ご本人は『まただよ。。』ってげんなりしてしまいますよね。
自分と一心同体の車いすが原因でスムーズに検査ゲートを通過できないなんて,SDGs目標10の『不平等』に他なりません。
樹脂製なら金属探知機は反応しないので,心を煩わせることなく空港を利用することができますね!
SDGsとの関係

SDGsの目標10『人や国の不平等をなくそう』
樹脂製車いす『morph』の導入は,SDGsの目標10の達成に貢献しています。
具体的には,ターゲット10.2に該当すると考えられます。
空港の検査ゲートのたびに車いすが引っかかる煩雑さから解放されることは,広い意味での『社会的な包含』になるのではないでしょうか。
2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
【目標11】災害支援活動

【目標11】災害支援活動
取り組み詳細
ANAのSDGsに対する取り組みの『災害支援活動』についてご紹介します。
地震大国日本は,多くの大震災に見舞われてきました。
地震がきっかけで大きな津波が発生した東日本大震災はまだ記憶に新しいはずです。
ANAグループでは、災害支援活動として被災地へあらゆる面でサポートを行っています。
近年の例は北海道胆振東部地震です。
ANAグループ全体として,義損金寄付、マイルによるお客様からの寄付、ANAグループ役職員からの社内募金を行いました。
集まった資金は,日本赤十字社や自治体を通じて被災地支援に活用されました。
僕は初めて存在を知ったのですが,ANAホールディングス(ANAやその他の事業会社の持ち株会社)とセブン&アイホールディングスは『緊急時物資輸送支援に関する協定』を締結しているのですね!
こんな内容↓の協定です。
- セブン&アイホールディングスは,災害時には緊急支援物資をいち早く提供する
- ANAホールディングスは,この緊急支援物資を優先的に,無償又は割引で輸送協力を行う
ANAホールディングス側の運賃の考え方は以下の通り。

ANAとセブン&アイの緊急時物資輸送支援に関する協定
北海道胆振東部地震では,この『緊急時物資輸送支援に関する協定』によって,ANAが多くの支援物資を優先的に運んでいたのです。
SDGsとの関係

目標11~住み続けられるまちづくりを
災害支援活動への取り組みは,SDGsの目標11の達成に貢献しています。
具体的には,ターゲット11.bではないでしょうか。
2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
東日本大震災の後に制定された『仙台防災枠組み2015-2030』には,
『優先行動4:効果的な応急対応のための災害への備えの強化と、復旧・再建・復興におけるより良い復興(Build Back Better) 』
の項目がありますが,国家レベル・地方レベルの行動(c)として以下が規定されています。
『(c)人命救助や重要サービスを提供するため、水・運輸・通信設備、教育施設、病院及び保健施設などの新規又は既存の重要施設の強靭性を強化し、災害発生中や発生後に安全、効果的か
つ稼働可能にする』
【目標7&12&13】バイオジェット燃料の導入

【目標7&13】バイジェット燃料の導入
取り組み詳細
ANAのSDGsに対する取り組み『バイオジェット燃料の導入』についてご紹介します。
従来の飛行機の燃料は,石油を精製する過程で得られるものでした。
その結果,フライトのたびに二酸化炭素を多量に排出していたのです。
ANAが導入する『バイオジェット燃料』とは、都市のごみや植物油、糖、動物性脂肪、など,化石燃料ではない有機原料から製造される燃料(主成分はエタノール)です。
ANAグループは米LanzaTech,Inc.社とバイオジェット燃料の購入契約を締結したのですが,このLanzaTech社の製造方法が素晴らしいのです。

LanzaTechのバイオジェット製造技術
上の図の通り,大まかに言うと排ガスを原料として2段階でバイオジェット燃料を製造します。
- 工場排ガスからガス発酵技術を使ってエタノールを製造
- エタノールから触媒技術を使ってバイオジェット念慮を
革新的な触媒を利用したエタノールからバイオジェット燃料を生成する技術については、国際標準機関の認定を受けています。
排ガスをそのまま大気に放散するとCO2を増やすばかりですが,ジェット燃料として再利用すればCO2の排出量を減らせますよね。
その分,石油の使用量も減らせるので環境にやさしいです。
SDGsとの関係

SDGsの目標7~エネルギーをみんなにそしてクリーンに
ANAによるバイオジェット燃料の導入は,まずSDGs目標7の達成に貢献します。
具体的には,ターゲット7.2です。
排ガスから作られる燃料は,再生可能エネルギーに他なりません。
2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。

SDGsの目標12-つくる責任つかう責任
また,SDGs目標12にも貢献します。
具体的には,ターゲット12.2です。
排ガスが原料になるので,石油の採掘量を減らすことができるので,『効率的な利用』につながりますね。
2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

SDGsの目標13-気候変動に具体的な対策を
さらに,SDGs目標13にも貢献しています。
具体的には,ターゲット13.3です。
ANAがバイオジェット燃料の導入に踏み切ることで,他の会社への啓発になりますし,制度化される動機にもなりますからね。
気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
まとめ
本記事では,ANA(全日空)のSDGsに対する取り組みを紹介しました。
- 取り組みの全体像
AIRDは,独自の方法で以下4つのジャンルで課題を設定し,それぞれの課題にはSDGsへの取り組みがいくつも存在します。
✔ 環境
✔ 地域創生
✔ 人権
✔ ダイバーシティ&インクルージョン
また,数ある取り組みの中から以下の3つを紹介しました。
- 【目標10】樹脂製車いす『morph』の使用
金属を使わず樹脂のみでできた車いす『morph』を導入し,スムーズなゲート検査を実現。
- 【目標11】災害支援活動
寄付以外にも,セブン&アイホールディングスとの『緊急時物資輸送支援に関する協定』により,北海道胆振東部地震の際には災害支援物資を優先的に輸送。
米LanzaTech社からバイオジェット燃料の購入について合意。工場排ガス等から製造された燃料を使ってCO2削減にも貢献。
以上です。

『この会社の取り組みはSDGs的にどうなの?』っていうものがあったら,ぜひコメントでお知らせくださいね~!

そうそう!僕が分析して,SDGsとのつながりをブログで解説しますよ^^
他にも,『SDGsのここがわからない』『もっと詳しく知りたい』『こんにちは』など,コメントをいただければすごく嬉しいです!
【参考】
- 航空業界の競合他社の取り組みはこちら↓
- 企業や個人の取り組みカテゴリートップはこちら↓
- 制度全般カテゴリートップはこちら↓
コメント
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