
ウィルスとかDNAとか、そっち界隈の興味が暴走して止まらないッ!
本記事は,このような知的刺激に飢えた人に向けて、空腹を少しでも満たしてもらうために書きました。
書籍のレビュー・感想を簡潔にお伝えします。
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本記事では、
- 著者について簡単に
- 本の概要
- 着目した3つのポイント
を簡潔にお伝えしていきます。
鬼才・福岡伸一博士の知の結晶
本書の著者は、福岡伸一博士です。
1959年の東京都生まれ、京都大学→ハーバード大学という驚異的なアカデミックロードを歩まれて来られました。
画家・フェルメールのファンのようで、フェルメールに関する書籍『フェルメール 光の王国 (翼の王国books)』も出版されています。
Twitterもやられているようで、生物愛溢れるツイートがジワりますね。
ルリボシカミキリの青を、私は限りなく美しいと感じるが、ルリボシカミキリ自身は、仲間の背中の模様を、私が感じるように感じてはいない。おそらく彼らにはそれは青色ですらない(虫は色彩をもたない)。
— 生物学者 福岡伸一教授_bot (@s_fukuoka_bot) October 17, 2020
テレビ出演もされるなど、ご活躍の様子です。
福岡さんの他の著書としては、『最後の講義』も人気のようです。
本書の概要:文学と生物との高次元での融合

本書の概要:文学と生物との高次元での融合
僕はサイエンス系の本を結構読みますが、これほどまでに芸術的な文調で物事を理解させてくれる本に出会ったことがありません。
高貴な小説を読んでいるかのようで、それでいて生物に関する知的欲求も満たしてくれます。
読んでいる間に感じる奥ゆかしさは、サイエンス系の書籍にはなかなか見られない希少なもの。
異次元の体験です。
本書で注目した3つのポイント
DNAの対構造の重要性

DNAの対構造の重要性
小難しい話になりますし、僕は生物学の門外漢ですので,下手に用語を使って頑張って説明しようとすると,伝わりにくくなるでしょう。
僕が着目したポイントをなるべく一般的な言葉で表現すると、『DNAの二重らせんは互いのらせんが”ペア”として結合しているからこそ、損傷を受けても元どおりに回復することができる』ということです。
DNAは、紫外線やストレスによって日々損傷を受けています。
損傷を受けた箇所を野放図に修復してしまうと、DNAに異常が生じる可能性が高くなります。
しかし、『DNAの片方のらせんのこの部分に結合する相手は、必ずこれ!』と決まっていたら、修復すれば元どおりになりますよね。
DNAのこの特性を本書では『相補的な対構造』と表現しています。
僕たち生物がDNAの損傷を受けながらも正常に生き続けられるのは、DNAのらせんが対構造となっているからなのです。

ったく。。誰だよこんなの設計したやつは。。。

本当だよね。これはシステム、それも超精密なシステムだよ。
エンジニアとしての感覚が『DNAは設計されたもの』と告げるよ。。
PCR検査の原理

PCR検査の原理
新型コロナの感染検査に使われることで有名になった『PCR検査』ですが、聞いたことのある方は非常に多いと思います。
では、PCR検査の原理を理解している人は、一体どれくらいいるのでしょうか。
僕は全く理解していませんでした。
しかし本書で丁寧に解説してくれたので、理解することができました。
PCRとは、Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の略称です。
下の図の通り,DNAを加熱してらせんをほどいた後に,ポリメラーゼと言われる酵素の力を借りて,らせんを修復します。
すると,半分ずつに分かれたらせんが綺麗に修復されて2つのDNAが出来上がります。

DNAらせんを切断し,ポリメラーゼで修復
PCR検査では,上記の操作を繰り返すことでDNAを倍々ゲームで増やしていくので,少ないサンプルしかなかったDNAがあっという間に膨大な量になります。
例え1個のDNAから出発しても,1 ⇒2 ⇒ 4 ⇒ 8 ⇒ 16 ⇒ 32 ⇒ 64 ⇒ 128 ⇒ 256 ⇒ 512 ⇒ 1024 ⇒ 2048 ⇒ 4096 ⇒ ・・・と,爆速で増えます。
そうすれば,色々な検査がしやすくなりますよね。
PCRの原理を考えた人は天才だと思います。
叡智に触れると,僕は震えます。
人間の果てしない可能性に。
内部の内部は外部

内部の内部は外部
(画像は,テルモ株式会社のWebサイトより)
上の画像に写る島のような部位は,すい臓でインシュリンの分泌を行うランゲルハンス島という細胞群です。
本書では,このランゲルハンス島を例に出して『内部の内部は外部』という神秘を解説しています。
具体的には,『どのようにしてインシュリンなどのタンパク質が,ランゲルハンス島の細胞から外に出ていくか』を解説したものになります。
下の絵は,超簡略イラストです。

ランゲルハンス細胞における小胞体の挙動
細胞壁が陥没して小胞体が形成されますが,細胞外部の空間が細胞内部に入り込んだような形になっています。
細胞の内部では,小胞体にインシュリンなどのタンパク質が入ります。
最後に,小胞体と細胞壁が一体化して,小胞体内部のタンパク質が細胞の外に出ていきます(インシュリンの分泌となります)。
本っっっ当によく出来ていますよね,人間の身体って!
『自然の産物』として片付けるには,あまりに複雑でシステマチックな構造と動作!
やはり設計されたと思うんですけど,オカルトチックですかね・・・?
まとめ:理系も文系も楽しめるアートのような作品

まとめ:理系も文系も楽しめるアートのような作品
本記事では,福岡伸一博士の『生物と無生物の間』を紹介しました。
ヒトの身体の神秘に震えるほど興味がある僕にとって,手に汗握りながら一気に読める名著です。
自分の身体の理解も深まるし,昨今話題のPCR検査も理解することができます。
手にとってみてはいかがでしょうか?
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