IBMが、” ブロックチェーン の5大原則“を発表しました。
自分の勉強を兼ねて、ブログ記事で解説にチャレンジします!
KOBOLOGでは、ひっそりとブロックチェーンに関する情報発信も行なっているのですが、IBMはブロックチェーン関連のニュースに最も頻繁に出てくる企業です。
特に、実用化されているブロックチェーンに関しては、IBMは世界のリーディングカンパニーではないでしょうか^^
そのIBMが発表した『ブロックチェーンの5大原則』ですから、チェックしておいて損はないですよね!
最後までお読みいただければ幸いです。
僕も質問していくね!
ニュースの出どころ

ニュースの出どころ
僕はニュースをチェックする時は、できる限り原典を調べます。
企業のニュースなら、その企業のホームページのニュースリリースを見ます。
適用されるところ
IBMの記事では、”Enterprise Blockchain”という表現が使われています。
なので、本記事で紹介する5大原則は、『企業が使っていくブロックチェーンに適用される原則』である、と考えています。
ビットコインのように、世界中の不特定多数が管理者もなく使っていくものには、必ずしも適用されるわけではないということですね。
ブロックチェーンの5大原則
企業が使うブロックチェーンについて、IBMが主張する5大原則を説明していきますね!
- Open is better(公開されるべきである)
- Permissioned doesn’t mean private(許可型であって、プライベート型のブロックチェーンではない)
- Governance is a team sport (ガバナンスはチーム・スポーツだ!)
- Common standards are common sense (共通標準を常識とせよ!)
- Privacy is paramount (プライバシーが最優先事項だ!)
原則1: Open is better(公開されるべきである)
ブロックチェーンのプログラミングコードを、できるだけ精緻なものにするため、オープン・ソース形式にして、コミュニティを形成していくことを推奨しています。
例:Linux財団によるHyperledger プロジェクト
Linux財団のサポートのもと、Hyperledgerプロジェクトというプロジェクトが進行しています。
IBMは、Hyperledgerプロジェクトを、企業用ブロックチェーンのソフトウェアを発達させていくための『温室』だと表現しています。
コードを独占的に発達させ独占していくのではなく、色々な視点でのコーディング能力を入れていき、ライセンスに関しても自由なものにするのです。
オープン・イノベーションということですね。
弁理士でもあるKobolですが、色々な視点が入った方が発明が生まれやすいんです。
一つの会社の研究所でウンウン唸っているよりも、他社とのアライアンスを組んだり、コンペをしたりすると、一つの分野の発想に染まっている頭では思いつかないようなアイディアが出たりします。

オープンイノベーション
IBMの記事によると、Hyperledgerプロジェクトは、2019年5月現在、45の加入メンバーが新たに加わり、12あるプロジェクトのうち3つは現在進行形で動いているとのことです。
原則2: Permissioned doesn’t mean private(許可型であって、プライベート型のブロックチェーンではない)
ブロックチェーンが企業で使われていくとなると、
- 適切な人が許可をもらって使っているか
- ブロックチェーンへのアクセス元は信頼できるか
などが重要になってきます。
企業としては、
- 自社がどのような相手とビジネスをしているか
- ブロックチェーンで違法行為などが行われていないか
が気になる所ですからね。
しかし、いくら上記のような点が気になるからと言っても、企業が使うブロックチェーンは、
プライベート型(一つの限られた組織でしか運用しないブロックチェーン)ではなく、
許可型(許可があれば、IDが適切に特定されていること等を前提に、基本的には誰でも参加できるブロックチェーン)のブロックチェーンであるべき、
と、IBMは主張しています。
例えば、下記2つのプロジェクトは、いわゆる『パブリック型』のブロックチェーンの例ですが、
『許可型』の性質も持っています。
また、Hyperledger Fabricのブロックチェーンに構築されたTradelensと言われるサプライチェーン管理のプロジェクトも、許可型です。
原則3: Governance is a team sport (ガバナンスはチーム・スポーツだ!)
企業のブロックチェーンでは、ネットワークのすべての参加者のニーズを満たしたり、
影響が局所的に集中することを防ぐ必要があります。
このため、権限や機能が分散されており、かつ、透明性の高いガバナンスが求められます。
例えば、誰がどのようにネットワークに参加できるかや、その管理の規則を明確に規定すべきだと、記事では主張しています。
また、ブロックチェーンの記録を続けていくときにはその取引結果が正しいことの検証作業を行うことが通常ですが、検証作業をする役割については、複数人(少なくとも3人)で分担すべきとも言っています。
例を挙げると、カナダのVerified. Meは、SecureKey Incが提供するサービスでアプリもありますが、カナダ国内の複数の大手銀行をメンバーとして加えることによって、取引の信頼性を向上させています。
原則4: Common standards are common sense (共通標準を常識とせよ!)
プロジェクトの中で、技術や運用の「標準」を共通して使っていくべきだ、との主張です。
特定のベンダーの技術に依存しすぎると、そのベンダーのいいなりになる可能性もあります(ロックイン状態)。
メンバー全員が共通して使える『標準』を、プロジェクトの常識として運用していくことで、ロックインを防ぎ、多くの参加者が利用しやすくなります。
皆が相互に運用できるブロックチェーンを構築するために、
- ブロックチェーンを互いに「見える化」すること
- ブロックチェーンのデータモデルと、変更する場合のポリシーを明示すること
が必要で、可能であれば、産業標準に準拠したり、APIを活用すべきと主張しています。
例:Decentralized Identity Foundation(DIF)
DIFは、組織や人、電子資産などをどのように識別するかについて、詳細な仕様を規定しました。
仕様が決まって入れば、異なるブロックチェーン同士でデータを特定する場合に、便利です。
原則5: Privacy is paramount (プライバシーが最優先事項だ!)
企業用のブロックチェーンにおいては、ただ一人のメンバーがネットワークを所有することはできませんが、存在するデータに対する権利は、常に作成者にある、と主張しています。
GDPRなどのプライバシー規制が遵守されるべきで、それはほとんどの場合、あらゆる個人データをブロックチェーンの外部で保存しておくべきとの主張です。

プライバシーは最優先事項
例:IBM Food Trust
これは、食物のサプライチェーンをブロックチェーンで管理していくもので、ウォルマート、カルフール、ドリスコールなどがデータをシェアできるようになっています。
しかし、その場合でも、各メンバーの機密情報については保護されるようになっています。
この「IBM Food Trust」の中身を日本語で書いたので、お読みいただければどういうものかがわかります^^↓
おわりに
【原則2】:Permissioned doesn’t mean private(許可型であって、プライベート型のブロックチェーンではない)
【原則3】:Governance is a team sport (ガバナンスはチーム・スポーツだ!)
【原則4】:Common standards are common sense (共通標準を常識とせよ!)
【原則5】:Privacy is paramount (プライバシーが最優先事項だ!)
コメント
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